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追憶の匂い

 結局、抱かれた。
 抱かれるつもりはなかったけれど、もう太々としてずんぐりした彼の雄肉を、入れられそうになっている。
 ものの三時間で私の体は堕ちて欲望の密に漬けられ食紅のように染まる。
 待ち合わせのバーでカウンターで一緒に飲んでいただけなのに、ほんの少しだけ酔っ払って、ほんの少しだけ彼の話を聞いていただけなのに。今、彼を熱くふやけて汁を垂らす女の肉の中に入れようとしている。

 バーのカウンターでいつもの通り喋っているつもりだった。会話のリズムに乗りながら楽しんでいただけだと思っていた。少しの笑いとあなたの手短かな話。好きだとか付き合いたいとか意識していたわけではなかった。
 ただ私は普段通りの気持ちで期待もせず、誘われてもさらりと受け流して断るつもりでいた。
 ピッチが早くなり、酔いすぎると困るので、飲むペースを下げるためにグラスを指先で撫でるなどしていると唐突に彼の言葉が突き刺さってくる。
「お前は、支配される方が好きな女だな」
「え?そんなことないよ」と平気なふりをしていたら「孤独になって落ち着かなくなるようではダメだ」と太股をぐっと掴まれた。
 高圧的な言い方は彼の癖で今更気になることではなかった。太股を捕まれ周囲を気にする。スカートから出た素足に太い指は食い込んでいる。
「お前は、誰かに触れて求められるのが好きな女だからな」
 大胆かと思えば時折繊細に指先が太股をなぞり、ぞくりとする。平気なふりをしながらバーテンを見る。他のお客と話していてこちらに気は向いていないし周囲のお客の視界にもカウンターの下の手の動きは見えないはずと、どこか落ち着きなく見渡してしまう。
 体温が上がって汗が吹き出てくるような気持ちを覚えた私に「お前、ひどく牝の匂いがするぞ」と囁いた。
 驚き「え?」と彼を見ると彼の手は太股の中へ潜り込み、さらに下着の中へと一気に入ってきた。
 叫ぶわけにもいかず、ばれないように声を抑えるのが精一杯だったけれど、「濡らしてるぞ。牝め」と言われ、スジをなぞられるとゾワゾワと鳥肌が立ち喘ぎそうになってしまった。
 彼の言葉に余計に意識して「もうぐしょぐしょなのではないか」とか「感じてないはずなのにどうして」とか、少しパニックを起こしそうで、それでも心地の良いざわめきが体中を包んでいて、私はきっと濡らしていると思った。いいえ、もう期待するほど濡らしてる。
 カウンターの上の彼の顔は涼しげだった。下で卑猥な音を響かせそうなほどの指の動きをしているなんて、きっと気づかないだろう。私は中へと入り込みそうな彼の指に「今は入ってこないで」と心で必死に祈っていた。断ればすぐに済むはずなのに、「止めて」という言葉は浮かんでこない。
 彼はグラスを持って酒を飲み、もう片手で私の濡れた花びらをいじめている。ぐしょぐしょに濡れた私の中へ、すっと指が少しだけ入り込むと「あっ」と声をあげてしまった。カク、カク、と耐え忍ぶ体が震える。「お願い、もう止めて」とようやく口にできると「入れてやる。それまで待て」と返される。
 期待していたわけでも何でもない。ただ、抗う選択肢がなぜか私の中にはなかった。「理由」とか、「行為へ至るまでの感情」とか、そんな理性的なものはどこにもなく、心地よい波に乗りながらプカプカとどこまでもいってしまうような、このまま溺れるなんて少しも思えない、そんな安心感すらあった。
 男は「理由」を求めたがるけれど、私にはそんな野暮なものをいちいち持ち出して理屈で過去を固めることなんてできなかった。感情が膨らんだまま、その膨らんだものを心の中に溜め込んで胸いっぱいにして、気球のように空に浮かんでいたいのかもしれない。「入れて欲しい」とは言わない。止めて欲しいけれど、気持ちとか雰囲気とか口説く腕とか私の体とか、そういうもの次第。そんなものが折り重なって風になり、船を進ませる。
 目的地は「そこじゃない」ってわかってても。
 でも、もう「入れてもらうこと」を期待している。貫かれて揺れて、波の中に放り投げられて、溺れたように彼の腕の中でもがく。演じるわけでもなく、感じた先に見えてくるものをひとつひとつ確認したいだけ。感情の海に、感覚の海になりたいだけ。私は抱かれる。これから、狂うほど抱かれる。

「シャワーは浴びるな」との言いつけに従う。「でも」などと言っても彼には通じない。汗ばんだ私の体を貪るのが好きなのだ。
 また、彼に抱かれる。
 脱がされ、舌を這わせられ、脇の下も綺麗に舐められ、首筋からへそ、太股から乾く間もなかった花びらへと舌は這いずり回る。
 彼を感じ、思うままに鳴いてみる。今夜だけと思いながら今夜も、彼という鳥かごの中の鳥になる。
 歌い、感じ、叫び、濡らし、吸われ、舐められ、汁で濡れたピンク色の突起も綺麗に舐め回され、私がだんだんと耐えられなくなったところで彼の肉に陵辱されていく。
 待っていたわけでもなく、期待していたわけでもなく、でも、欲しい。入れて、奥まで、裂くような、太い彼のものを、体が欲する。
 そんな私の体を知っていて、ただれた女の肉の奥へ侵入しようとする彼。
「貫いてやる」とあてがわれる。
 入ってくる瞬間、いつも妙な気持ちになる。入れて欲しい期待と、楽観的な拒否。断っても私の体が納得しない。断っても彼の性欲が気持ちが納得しない。だから、入れて楽しみたい。だから、切れてしまいそうな彼が愛しくなる。腰を突き入れ、図太い彼の先端が、今入って私の体が信号機のようにパッと変わる。
 すんなりと埋まっていく感触がする。花びらの奥が圧迫されて気持ちいいのが走ってくる。彼の肉を拒むことなく奥まで受け入れるのがわかる。私は本当は彼のことが好きなんじゃないかと本気で思う瞬間ですらある。
 こすられ、突かれ、自然と口にする言葉は「いい! いい! ああっ!」と喜びの声。
 彼の言った通りの「牝」に成り下がる。牝として喘ぐ自分に嬉しさすら感じる。ゆっくりと抜き差しされる彼の肉の形を感じたくても、早く動く激しいこすれに混乱して我を失う。
 彼が中で暴れ回っている。体中に鳥肌が、快楽が広がって波打つ。
「うああ!」
 まるで叫び声。
 でも、叫んでいるのではなく自分では声が漏れた程度だと思っている。それだけ自分がわからなくなってジュブジュブとあそこから漏らしている。彼の肉で、彼に貫かれて、彼を受け入れている。体中が嬉しがってキスをせがんで「もっと突いて。メチャクチャにして」と叫びながら。
 彼の感触が伝わってくる。征服、支配、陵辱、私の心臓と魂を、その手で掴み取ったと思い込んだ満ちた感情で私へと解き放ってくるのを。欲望の汁を吐き出されるのを。
「出して。出して。ああ、いくいく。私も、い、くぅぅ!」
 互いに果てて、彼の重さと熱さを感じる。私の体は彼に飼いならされたように反応してブチュブチュと漏らす。
 密室の想い、密室の行為、密室の秘密。
 近いはずなのに、背中に美しく輝く遠い記憶。

「どうしたの?急に黙って」
 バーのカウンターで久しぶりに二人で飲みにきた旦那に聞かれる。
「え? うん。ちょっと昔を思い出した」と誤魔化す。
 不思議と思い出すときがある。でも、もう忘れたい。大事にしていたはずなのに、汚されてしまった。
 偶然、久しぶりにあの人に出会い近況を聞かれ「結婚しました」と伝えると「そうか。お前のこと愛していたよ」と伝えられた。何年も経っているのに急に。バカらしくて呆れるほどに彼が小さく見えた。
 思い出は思い出のままが美しい。
 言ってほしかったような、今はもう気持ちすらも遠くに埋もれてしまいわからなく、言われた言葉は虚しさをともなって、季節の風に軽々と吹かれて消えた。
 今は隣に座っている大切な旦那様との久しぶりの、短くトキメク時間を大事にしようと彼の太股を掴み、驚く彼の顔を見ながら股間へと指を滑らせ、さすりながら言った。
「ねえ、この後あなたの匂いを嗅がせてよ」

テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

まだ明けて間もなく

寂しくないと思っていたつもりが、なぜか今日は酔っ払い雪を眺めていると、どうしようもなく誰かの声が聞きたくなって電話をする。
「どうしたの?こんな真夜中に」
「寂しくなって」
「何それ。女のセリフじゃない」と笑う君の声を聞く。
「酔っ払ってる」
「なんかそんな気がした」
「抱きたいな」
「酔っ払った勢い?」
「いや、酔いの勢いで勇気出しただけ」
「勇気出さなきゃ抱けないんだ」
「君が思っているよりもシャイだから」
「私がどう思っているか知らないくせに」
「知ってるよ」
「ホント?じゃあ当ててみて」
「俺と抱き合いたい」
「ハズレかもよ?」
「そうかな?」
じゃれ合うみたいな会話。
話慣れた関係。他人には大胆なやりとりでも、毛をなであうような心地いいやり取り。
お互いの本心はわからなくとも、少なくとも今は傍にいなくてもあたたかく感じ合える存在。
「まだ明日休み?」
「うん。仕事始めは明後日から」
「じゃあ、会える?」
「夜なら。実家だから」
「今実家なんだ」
「元気な顔ぐらい見せておかないと親不孝」
「よくやってるよ」
「ありがとう」
「明日何時がいい?」
約束をして電話を切る。都合のいい関係かとも思ったりする。でも、少しでもそうならないようにしたいと思いやりは込めていきたいと思っている。
「飲みすぎちゃダメだよ。お酒でいつも後悔しているでしょ」
単純だから、少し付き合えば見抜かれる。やさしい気遣い。
俺にはなかなか細やかな神経は持てない。
会えばどうなるかわかってる。欲まみれの自分。

次の日彼女の部屋に上がり込む。
安い赤ワインにつまみ。
「あけましておめでとう」と乾杯する。
「キスしたい」と言うと「いきなり?」と彼女は笑う。
「飢えてる男は危ない危ない。利用されかねない」と唇を重ねる。
「欲望と理性ってどうやったら、二つ両立できるのかな」
「無理」軽く彼女にあしらわれる。
「えー、こう見えても落ち込む時だってある」
「うん。私も。楽になりたいよね」
何をさしているのかわからずとも、ニュアンスだけは重なっている気がして杯はすすむ。
「愛するって何だろうね」彼女がぽつりと言う。
「欲深だと愛さず利用している気がするし、理性だけだとただ捧げ尽くしているだけな気がするからね」
「難しいよね」
そう言っている彼女の手をさする。
彼女が見つめてきて
「なあに?スケベオヤジ」
「スケベは中途半端だな。今日は入れたくて来た」
ふふ、と笑い「ストレート過ぎるから」と指を絡めてくる。
「欲しかったんでしょ?」
「別に」
顔を背けワインを一口。
グラスを置いた彼女の顎を指で軽く引っ掛け振り向かせる。
振り向いた唇に重ねていく。ワインの味がほんのり残っている。
目を閉じて手を首にまわしてくる彼女。
息が鼻と口から勢いよく漏れる。
少し興奮したように、少し抑えぎみなように。
「欲しかった?」唇を離しもう一度聞く。
「何度も聞かないで。恥ずかしい」答えずに彼女から唇を重ねてくる。
まるでこっちが女のように確認したくなる。
いつもより舌を激しく絡めるキス。
それだけで彼女の「今までの我慢」がわかってくる。
言葉を交わさなくとも、お互いの衝動で感覚をやりとりしている。
何度も口付けを交わし舌を互いの口内に入れながら、体中をまさぐりあう。
彼女の手が大きくなった股間の形に会わせなぞると息が余計に荒くなる。
「舐めたい?」と聞くと頷く。
寝転がり下着を下ろすと彼女は優しく手に握って先端にキスをする。
「舐め合おうよ」と言うと赤くなりながらも彼女も下着を下ろして顔をまたいでくる。
汁が垂れているのがわかるほど濡れている。
彼女の割れ目に指を入れて少し動かすと、濡れた音がする。
「凄いよ。いつもより濡れてる」
「言わないでよ。恥ずかしいよ」
彼女の羞恥心をもっと煽りたくなり、わざと口をつけ、音を立てて汁を吸う。
「いやっ。バカ。は、ずかしいって、言ってる……」
彼女の言葉は喘ぎ声に変わっていく。
いつも優しく、ゆっくりと舐める彼女は握るのが精一杯だった。
「やだっ。そんな激しくしたら、い、ああん、くっ、い……くっ。やだ、出ちゃうううん」
と言ったすぐに音を立てて潮を勢いよく出した。
今まで潮を吹いたことがなかっただけに、少し驚いたが、それだけ感じてくれたのかと少し嬉しくもなった。
「我慢してたの?」
「我慢してない」
「本当?」
「いじめないで」
彼女の顔を見たくなり、顔を近づけると舌を絡めてくる。
愛しくなって乳首を強めにつまむ。
「意地悪だよ」
涙目になりながらもキスを続ける。
髪をなでながら硬くなったものを擦り付けると彼女は片手で握りこみしごく。
「入れたいよ」
「ダメ。意地悪の仕返し」
優しく強く指の力を加減しながらしごきあげる彼女の手は気持ちがよくて逝ってしまいそうになり、すぐさま押し倒して股を思いっきり手で押し開き中へと入れた。
言葉では抵抗しながら溢れかえった彼女の割れ目の奥へ雄の肉を突き入れる。
悶えて逃れようとする腰を掴んで引き入れ奥を突く。
粘液質な音が響いて彼女の喘ぎが大きくなる。
「欲しかった?」と聞くと「欲しかった」と答える。
「正直になったね」
と髪を撫でると唇が重なってくる。
「ダメ。すぐ逝っちゃう。いくいくう」
体をふるわせ果てる彼女をなおも突く。
「お願い。そんなにしたらおかしくなる」
「おかしくなってよ」
二人しか知らない二人だけの姿を見せ合うことの快感と充実感と秘密めいた喜び。
抜かれては突き入れられる肉を彼女はどう感じているのだろう。
知りたくて、確かめたくて抱きしめる。
「もっと欲しい?」
「もっと、もっと突いて」
崩れ出した彼女の理性。
心ごと裸になった彼女の淫らな姿。
刹那のような一瞬の美しい性の花火。
それでも彼女と過ごせる一時が、欲しくなってたまらなくなる時がある。
愛しているのかもわからないけれど、受け入れてくれる彼女の存在をありがたいと心から思う。
また一年が始まる。
二人どうなるかわからないけれど、一緒にいる間だけは幸せにしたい。
彼女が身をよじらせながら声をより激しくさせる。
言葉よりも今は確かな感触が嬉しく彼女の奥へねじ込む。
溶けるような時間。
冬の星のように明るく透き通って弾ける重なり。
燃え上がった後の二人は虚しさを抱えないだけでも、よい関係なのかもしれない。
彼女へ合図をして精液を吐き出す。
このまま夜明けまで一緒にいたい。
流し込む精液の熱さと震えに彼女の抱擁は強くなる。
月の輪郭をなぞるようにして、夜空の時間は滑っていく。
予報通り深夜は雪が降るだろうか。
明日の朝は真っ白になった世界が広がっているだろう。
彼女は潤む瞳を向けて言う。
「もう一回、欲しい」
ぬくもりは続く。

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Author:貴美月カムイ
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